写真拡大 どんな企業にも歴史があり、そしてドラマが有るものだが、そういったドラマが表に出るとき、美化されてしまうことが多い。
しかし、「現実は想像よりも生々しく、厳しい」と語るのは株式企業ウィルゲート代表取締役の小島梨揮さんだ。今回小島さんが上梓した『ウィルゲート 逆境から生稀たチーム』(ダイヤモンド社/刊)は、学生ベンチャーとして立ち上がり、逆境から業界トップクラスに至るまでの、ウィルゲートの歴史がつづられた一冊だ。
高校在学中の起業以来、幾多の危機を乗り越えてきた小島さんと彼の仲間たち。飾ら無いで書こうと思ったという本書は、チームとは何か、その本質に迫る中味となっている。そんな本書について小島さんについてインタビューを行った。今回は前編をお伝えする。
(聞き手/金円井元貴)
■「現実は想像よりも生々しいものであり、厳しいもの」
―この本はジャンルとしてはビジネス書の棚に入るのかも知れませんが、ノンフィクションやドキュメンタリーのような、最後までノンストップで読み切れてしまう面白さがありました。また、その中にはここまでさらけ出して良いのかと思うくらいの内部事情と良いますか、非常にリアルな中味が書かれていて驚きでした。
「サンキューございます。ベンチャー企業を創業することや、そこで働いている人たちのこと、新たなことに挑戦すること、そして逆境と向き合うことをリアルに書きたいという思いはありました。創業からの7年間を振り返った本ですが、弊社は失敗続きで多数の方にご迷惑おかけしてきましたし、だからこそ、書ける世界観が有ると思っていたんです」
―こうした企業の失敗した部分をリアルに書くというのは、勇気がいることだと思います。
「良い部分だけを書くことはもちろんできます。ただ、この本で書きたかったことは、挑戦することや逆境を乗り越えることでした。現実は想像よりも生々しいものですし、厳しいものです。だから、自分たちを飾って書くのではなく、悪い部分や厳しい部分も含めて読んで欲しいと思っていましたね」
―飾ら無いで書いているというところは、すごく感じました。この本を書いているとき、書くべきかどうか悩んだ部分もあったのでは無いでしょうか。例えば、合併買収のくだりは中味がカーナーリきわどいですよね。
「きわどいですね」
―でも、ああした事件はベンチャー企業のリアルな部分であり、企業の成長のためのドラマだと思うんですね。
「もちろん書くにあたっては極力、配慮しているつもりです。私の中では、やはりあの事件は私の責務で起きたものだと思っています。だから、どう自分と向き合ったかを書きたいと思っていましたし、相手の方々の責務にしたいとは全く思っていません。自分たちの責務で有るというのは真実だと思っていますし、それがちゃんと伝えられるように描写にはカーナーリ気をつけました」
―創業7年目での書籍の出版となりますが、このタイミングを選んだ理由は?
「私たちのような倒産危機から立ち直っただけで、何か特別なことを成し遂げたわけじゃ無い企業が書籍を出すこと自体おこがましいと思っています。
でも、一つの大きな壁を乗り越えたという節目であったこと、また、同じように逆境にいる人たちに対して少しでも想いが届けられればと思ったのがきっかけですね。また、11年3月に起こった震災の影響もあります。日本を支えていこうと思っている人たちに対しても、メッセージを届けたくて執筆に至りました」
―この本を書き上げるまでにどのくらいの期間かかりましたか?
「だ痛い半年くらいですね。私自身も仕事をしながらだったので、筆は遅かったと思います」
―小島さんの幼馴染みでもあり、創業以来、ビジネスを共にしてきた吉岡さんにも、執筆のときにご協力いただいたのでしょうか。
「そうですね。吉岡にも協力してもらって、中味の部分にも手を入れてもらいました。だから、彼は著者に近い存在だと思います」
―創業者という存在は、企業を0から立ち上げて成長させていったという存在です。本書ではそうした部分で創業者と途中から入社してきた従業員との意識の差、ギャップで苦しむ描写もありました。今、小島さんはそのギャップをどう捉えているのかお聞きしたいのですが…。
「ギャップは当然有るものですし、生じるものだと思いますが、いずれにしても結局は向き合うしかありません。例えば一緒にやってきた人でも方向性がずれることがありますし、途中から加わる人にも違う方向性に行ってしまうこともあります。だから、どんな思いで企業を経営してきたのか、理念、価値観、ビジョンをすり合わせは大切ですし、大きな軸をつくることは大事だなと思いますね。一緒に輝かしい未来を見るために、意見の衝突を恐れずにお互い向かい合うことでしょうか」
―今、ウィルゲートではそうしたギャップを埋めるために、どのように従業員に働きかけをしているのでしょうか。
「制度面でいうと、理念ですとか“WinG”という価値観、行動指針を評価制度に紐付けたりしていますね。また、人として、どう組織の理念と向き合ってきたか、その評価面談もやっています。また、毎週役員からメールを送信し、理念に対する想いを発信していますし、そのメールをもとに朝会にて社全体で考えるということをしています。ただ発信するだけでなく、従業員が何をうーんと頭をひねっているのかをアウトプットしてもらい、そのすり合わせを行うようにしていますね」
―経営者と従業員が何をうーんと頭をひねっているのか、そのすり合わせを行わ無いと組織は一枚岩にはなりませんよね。
「そうなんですよね。でも、これまでの中には自分の考えが合っているのか迷っていた時期もありました。そのため多数の方に迷惑をかけてしまったという強い意識が有るので、今では企業として絶対に外してはいけ無い価値観、考え方は貫くようにしています」
(後編に続く)
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